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  • 執筆者の写真伊牟田インストラクター

更新日:6月10日



こんにちは

人生100年時代 健やかに動き続けるための身体を共創する

Physio Pilates (フィジオピラティス) 文京本郷の副代表 伊牟田真樹(いむた まさき)です



今回のテーマは”椎間板を守りましょう”です。


伊牟田先生、椎間板ってそんなに大切なの?



とても大切だよ。椎間板が衝撃を吸収してくれなかったら、僕たちは痛くて歩くことすらできないんだよ。






100年歩き続けるために、椎間板について勉強していきましょう^^



1. 椎間板の働き


 

“椎間板”は聞いたことがある方がほとんどかと思いますが、どんな働きをするのか、なんで痛めてしまうのか、イメージ出来る方は少ないのではないでしょうか。


椎間板を痛めてしまうと腰痛に始まり、椎間板ヘルニア、さらには脊柱管狭窄症と症状が進んでしまうため、構造をよく理解した上で椎間板を守ることが、人生100年使える健康的な背骨を保つことにつながります。


椎間板は背骨と背骨の間にある組織で、背骨のクッションの働きをするいわば座布団のようなイメージです。ここはイメージ出来る方が多いですよね。


この椎間板のおかげで、我々の24個の背骨は重力に負けずに衝撃を吸収し、しなやかに動くことが出来るのです。


簡単に構造を説明すると、椎間板の中には髄核というゴムボールのようなものがあり、その周りを線維輪といわれる靭帯組織が覆っています。


この髄核には水分が含まれており、この水分が椎間板を膨張させて圧迫の力に抵抗することができます。この構造のおかげで、まるで車のタイヤのように強い衝撃も緩衝してくれるわけです。実に素晴らしい機能です。




2. 椎間板由来のトラブルが起こるわけ

 

ではなぜ人の椎間板はぎっくり腰、椎間板症、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症といったトラブルを引き起こすのでしょうか?


①ゴムボール(髄核)の水々しさが減ってしまう

椎間板は年齢とともにより乾燥するようになり、より弾性が低下してしまいます。そして、椎間板が硬くなり、変化に対応しづらくしてしまうわけです。また、水々しさの低下により、椎間板の柔軟性が低下してしまいます1)2)。


②年齢とともに、腰の動く範囲が徐々に減少する

幼児では腰の動きは最大となるのですが、30歳を超えると段階的ではありますが、腰の動く範囲が着実に減少すると言われています3)4)5)6)。これは前述した通り、椎間板の水々しさが減少することに影響します7)。


③繰り返される腰の曲げる動作

耐えられる強度の50-80%の負荷が100回繰り返されると、椎間板の上下にあり椎間板に栄養を送る働きを持つ脊椎終板(せきついしゅうばん)と呼ばれる部分が損傷する可能性があると言われています8)。この負荷は通常の労働活動でもみられる範囲の負荷で、荷物の運搬や、腰を曲げる動作でもかかる程度の負荷です。この部分を損傷すると、髄核への新陳代謝を阻害し、椎間板自体の劣化をもたらします9)10)。


3. 椎間板を守る方法

 

ではどのように対処すれば良いのでしょうか?

ここからが皆さん気になるところだと思います。

年齢とともに水分の量が減ってしまうのは残念ながら今の科学ではどうしようもありません。

ですが、適切に対応することで椎間板を守っていくことが重要です。


ポイント1.  姿勢に気をつけるだけでなく、長時間座る事を避けましょう

腰を丸めて座っていると、腰の椎間板が長時間圧迫されるので良い姿勢で座りましょう、というのはなんとなくイメージがつきやすいと思います。ただ、良い姿勢だと良いというわけでもなく、最低でも1時間程度に一度は立ったりして、背伸びなどのストレッチを行うことが望ましいです。長時間の圧を受けていると、組織の水分が徐々に漏れ出ていき、年齢とともに水分が補充されるスピードが遅くなるためです11)12)。



ポイント2.  背骨全体を動かせるようにしましょう

背骨は全部で24個の骨で形成されていて、それぞれに関節があります。その一つ一つが適切に動くことで、一箇所に負担が集まることがなく負担を分散させることが出来るのです。針金も一箇所を曲げ続けると劣化で折れてしまいますが、全体をしなやかに曲げていると折れないですよね。背骨もそんなイメージで使ってあげることが理想なのです。


ポイント3.  適切な身体の使い方を学びましょう

やはり、一番重要なことはこれです。同じ作業をしているはずなのに、腰を痛める人と痛めない人がいるのはなぜなのでしょうか。理由は様々ありますが、多くは身体の不適切な使い方にあります。


また、誤ったイメージによって、力を入れすぎているケースも多いです。重要なことは、適切な動作を行うためにも、“適切な筋肉”を、“適切なタイミング”で、“適切な量だけ使う”ということです。

これだけではイメージが難しいと思うのですが、我々フィジオピラティスでは、個々の状態を適切に把握して、適切なエクササイズを提供することで、適切な筋肉の使い方と良い動きに導き、腰への慢性的な負担の軽減に繋げていきます。


年齢と共に変化する水分の量は変えられませんが、動きの質はいくつになっても変えられるのです。


  1. Kulak RF, Belytschko TB, Schultz AB et al. Non-linear behaviour of the human intervertebral disc under axial load. J Biomech 1976; 9:377-386.

  2. White AA, Pnjabi MM. Clinical Biomechanics of the Spine. Philadelphia: Lippincott; 1978.

  3. Keyes DC, Compere EL. The normal and pathological physiology of nucleus pulposus of the intervertebral disc. J Bone Joint Surg 1932; 14: 897-938.

  4. Hilton RC, Ball J, Benn RT. In-vitro mobility of the lumbar spine. Ann Rheum Dis 1979; 38: 378-383.

  5. Taylor J, Twomey L. Sagittal and horizontal plane movement of the human lumbar vertebral column in cadavers and in living. Rheumatol Rehab 1980; 19: 223-232.

  6. Tanz SS. Motion of the lumbar spine: a roentgenologic study. Am J Roentgenol 1953; 69:399-412.

  7. Twomey L, Taylor J. Flexion creep deformation and hysteresis in the lumbar vertebral column. Spine 1982; 7:116-122.

  8. Hansson TH, Keller TS, Spengler DM. Mechanical behaviour of the human lumbar spine. Ⅱ. Fatigue strength during dynamic compressive loading. J Orthop Res 1987; 5: 479-487.

  9. Melrose J, Ghosh P. The noncollagenous proteins of the intervertebral disc, Vol. I. Boca Raton: CRC Press; 1988: Ch. 8, 189-237.

  10. Ohsima H, Urban JPG. The effect of lactate and pH on proteoglycan and protein synthesis rates in the intervertebral disc. Spine 1992; 17: 1079-1082.

  11. Bushell GR, Ghosh P, Taylor TKF et al. Proteoglycan chemistry of the intervertebral disks. Clin Orthop 1977; 129:115-123.

  12. Comper WD, Preston BN. Model connective tissue systems. A study of the poyion-mobile ion and of excluded volume interactions of proteoglycans. Bio-chem J 1974; 143:1-9.


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